日々楽しく過ごしたい

舞台やイベントの備忘録的な何か。

ちょっと今から仕事やめてくる

ちょっと今から仕事やめてくる

 

を観てきました。鈴木勝吾さんが出るとの事で、原作は小説だよな。内容知らないけど。と思いながらチケットを取っていたんだけどいい舞台でした。

ネタバレにも配慮してないし、だからと言って舞台内容の説明でもないけど単に感じたことを書きたかっただけの感想です。

 

この話はカテコで勝吾くんも言っていたけど舞台化が合う作品。って感じだった。ブラック企業とか過重労働とかパワハラとか。大なり小なり社会人をしていると経験があったり話を聞いたりすることもあるけどすごく身近に感じる人もいればなんかテレビの向こう側というか自分には関係ないと思っている人も多いと思う。そんな内容の話をシブゲキのサイズ感の劇場で役者さんが演じることによってすごく身近に感じることのできる舞台だった。

セットは舞台上がホームになっているけどシンプルだからこそ自宅の部屋にもオフィスにもなってみやすかったかな。

それと舞台下の最前列の前の部分が線路になっているんだけど私は終盤にヤマモトがそこを一本道を渡るようにしているのをみて初めて線路なんだと気づいた。その時は線路のレール部分を落ちないようにわたりつつ、隣のレールに移ってみたり、落ちたり、落ちてもレール部分に戻ったりしながらわたっていたんだけど、あれって生きている道のりを表しているのかな。って思ったりも。その時のヤマモトの渡り方とか表情が何とも言えず良かったんだけど、あれって正直最前列以外だとその良さが半減してしまうのが残念。2列目から見ていたときはその部分が線路になっていることすらその時まで気づかなかったし、どちらかというと落ちないように渡っていると思っていて、子供が落ちないように楽しんで渡っているのと同じような、単純に楽しんでいるような印象を持っていたんだけど、最前列で見ていた時は、落ちないようにはしているけど、何が何でも落ちないように。というよりは無理はせず落ちてもやり直せばいいさ。って感じの印象を受けたので、色々な生き方が有っていいんだよ。ってメッセージにも感じた。あの演出もヤマモトの演技もすごく好きだっただけに他の人にはどう見えていたのかが気になるところ。

あとちょいちょい両端での演技があったのが見づらかったんだよね。ポンポン左右の両端で会話されると首をぶんぶん振りながら見る感じなって何かを見逃している気がした。確実に片方みるともう一人を見ることができないので。居酒屋でのシーンもそう。中央のテーブルにヤマモトを残して青山は席をはずして端で電話をしているシーンも、電話で会話をしているのが青山だからついついそっちを見てしまうけど、2回目の時は意識してテーブルの方のヤマモトを注視していたら、携帯を取り出してみているヤマモトの表情がなんとも切なかった。きっと兄のことを思い返していたんだよね。と思うんだけど、電話をしている青山を見ているとほぼヤマモトの方は見えないから、そんなヤマモトの姿を見てない人も多いと思う。舞台奥と手前とかで青山をみつつ視界の中にヤマモトが入ってくるようにしてほしかったな。

でも全部ひっくるめていい舞台だったと思う。青山やヤマモトが舞台を通して身近に感じられて、それによって自分に重ねる人もいれば、周囲に思いを寄せる人もいると思う。どう感じるかは人それぞれで、それでも何かしらの気づきや視点を増やしてくれたり、気づかせてくれたりする舞台だった気がする。観て良かったとすごく思える舞台だった。円盤化予定がないのがすごく残念。

 

青山隆:飯島寛騎さん

大学生から新入社員を演じていたけど、追い詰められているときの目が何とも言えなかった。うつろな目というよりは死んだような目。物もみているし認識もしていそうだけど、それに対して何の感情も動かない感じの死んだような目。すごく合っていたと思う。

ヤマモト:鈴木勝吾さん

溌溂としていて頼りがいがある感じの時と、鬱屈として思い悩んでいる時があってそれぞれの感情がすごく伝わってきて凄かった。勝吾くんのこういう役をもっと見てみたいってすごく思う。あと大阪弁での演技大変だっただろうな。って。正直私が身近に感じている大阪弁とは少し違うので違和感は有ったりもしたんだけど、一貫してそういう言葉だったからそういう言葉の地域ね。って思ってた。どのあたりの言葉だろ?慣れない人がイントネーションを意識して話している感じは全然なくてちゃんと自分のものにしている感じがしてた。